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3年生第1課題
3年生の課題を一部ご紹介します。


第一課題

《インテリアデザインコース》
— 現代日本のホテルを考える —
担当:高取邦和非常勤講師、大嶋敏裕非常勤講師


【総評】
数年の間にホテルの表情が変わっていく様に毎年の学生のプランも変化してきている。ホテルに期待する非日常生、エンターテイメント、その土地ならではの訪ねていく魅力 “地産地消”の概念などの提案がなされたが、ハードの建築・インテリア・バックヤードシステムを通して、ユニークな表現で展開した例が多々あった。特にスケールアウト、空間の水中への発展、高架下の物異空間の利用や、プライベートルームが演出の舞台へと転換するなど新しい視点も目立った学年であった。



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白銀さんの作品
ダイナミックなショースペースと室(宿泊スペース)との関係が場合により逆転するなど新しいホテルの有り方に迫るものがあったが、具体的空間提案まであればパーフェクトであった。


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狩野さんの作品
水中の客室が移動するというユニークな発想はミーティングで展開して確実に進歩したが、構造的に解決すべき部分が造形的にも無理に感じる点など課題もあるが大変魅力的提案である。


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安永さんの作品
良くまとまったプランであるがアーティストのこのスペースでどう表現できるかの場の提案が今一歩である。



北原君の作品
大胆なガリバー的ともいえるホテルのイメージは強引であったが魅力を発揮した。小さなディティールの積み重ねを図面でもう少し解決できれば更によかった。


多摩美術大学非常勤講師 高取邦和



《建築デザインコース》
―表参道に建つ「店舗+事務所」複合ビル―
担当:田淵諭教授、森下清子教授


現地調査・測量の様子
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作品とコメント

【総評】
今回の表参道に建つ「店舗+事務所」複合ビルは、学生にとって初めての積層建築への取り組みであった。
求められたのは、機能動線の整理、機能の違うものをどう積層させるか、機能の違った空間を総合的にどう空間化するか、これらを総合的にまとめるにはどのような構造を使いどのような架構を作るのがよいのか等を、建築法規にも照らしながらのデザインであった。
今回は皆出席率が良く、毎回ほぼ全員の出席であった。
良かった点は、各自がやりたいテーマをもって設計に臨めたことや、計画内容の密度が上がったことである。
今後の改善点としては、初期の段階でニーズをはっきりと定めダイヤグラムに落とし込める数値的な検討や、各自の建築設計にとって一番見せたいもの、アピールしなければいけないところをしっかりと表現することであろう。
全体的には内容の濃い充実した課題の取り組みという印象を得た。これをきっかけにより努力をして建築のスキルを磨いていってほしい。


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井上真君
5つのブロックに分け、その中間を大きな半屋外廊下で結ぶ計画は明快で、あの場所性が良く活かされている。壁構造で壁面とガラス面を明確に分け、構造的な明快さと空間の変化がうまくかみ合っている。良い計画なだけに、外観やディテールへの詰めがほしかった。図面は、スケールと密度を上げて人の賑わいまでも表現したかった。



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KIM Soo Heeさん
表参道とキャットストリートの交わる場所としての人の流れを良くつかんだ計画である。1階に広く開放的に設けられた広場はとても気持ちがよい空間である。またその場に設けられた吹き抜けに面して各階の視界が表参道のケヤキ並木に開放的につながり、建物の全体にリズムが出ていて良い。各フロアーの店舗もスケール感が良くデザインされていて機能的であり、空間としても大変魅力的である。図面も全体的に良く描かれているので、外観の設計が図面に反映されていないのがとても残念。



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建部彩さん
この場所にあって誰でも立ち寄れる場所、年齢を超えて集え安らげる空間を、木をテーマに構成した爽やかな設計である。建物内の至る所にいろいろな緑を配置し、階が変わるごとに1本の木の見え方を変えながら連続していく空間作りは魅力的である。
店舗階・オフィス階とも専有と共有の面積バランスが良い。緑の吹き抜け空間がもう少し広いと良い。断面空間の良さが、せっかくなので立面にも反映してほしかった。



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真栄城奈緒さん
インフォメーションを兼ねた360度シアターの球空間を礎とし、それに連続する球によって構成された空間が魅力的である。各店舗空間は球を貫く通路でうまくつながり、空間内は大小いろいろな店舗で構成され不思議な魅力を提供している。数層に設けられたフロアーからは、球を覆う外壁のカーテンウォール越しに表参道の緑を見ることができる快適空間となっている。形状が複雑なだけに、図面や絵や模式図を使って納得いくまで表現してほしかった。

多摩美術大学教授 田淵 諭


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第二課題
《インテリアデザインコース》
⑴飲食店舗ー解放する空間—長屋/担当 米谷ひろし准教授
⑵住まいー解放する空間—アーティストの為の長屋/富樫克彦教授・八島夕子非常勤講師

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第三課題
《インテリアデザインコース》
─ダイニングチェア、テーブルのデザイン及び製作─
担当:川上元美客員教授、富樫克彦教授

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【総評】

殆どの学生達が工房に初めて入ることから、様々な木工機械を扱って短期間で椅子を実作することは、本来かなり無謀なことかも知れない。
幸い完備された工房設備と先生方の丁寧な指導と尽力が、このカリキュラムを可能にしている。
本年も、自らデザインしたダイニングチェアの製作図をおこし、木材、部品、塗料の調達等々、限られた時間の中で、お互い協力し合いながら、なんとか見事に完成する事が出きた。
製作のプロセスを実体験し,自ら座って得る様々な感慨をとうして、日常の課題の成果を都心のギャラリーで発表出来る事も、貴重な体験として記憶に深く残ることだろう。
とくに本年は、カナダケベック州の木材製品輸出振興会から協賛をいただき、カナディアンメープル材を主材として椅子の制作を進めた。この場を借りて謝辞を申し上げたい。
また3作品が同振興会より表彰された。


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Shih-Tsai-Yun
成型合板フレームの特質を生かして、幅と厚さの対比が特徴的でどっしりと構えた佇まいが良い。ただ前脚と高脚の接合の細部が少々気になる。


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井上大志
背もたれ部の納まりがチャーミング。正面から眺めた脚部の不等厚に特徴あり製作時の苦労もうかがえる。ただ脚の細太の強弱を付け過ぎたように見受ける。


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富所 駿
段取りの良い作業で、安心出来る仕事ぶりが印象的、メープル材の特徴を生かした、イメージ通りのシンプルで清楚な椅子に仕上がっている。フィニッシュも美しい。


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寺田健太朗
成型合板の背、座一体のフォルムが特徴的であり、背上部の突起部も見かけよりしっかりとして居り、強度は確保されている。脚の角度の振り方に少々難があるが、良くまとまって居る。



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巽志緒里 
構造となる内部合板の接合に手を焼いていたが、無事に狂いも無く、突き板を張り上げて、プロポーションの良いダイニングチェアになった。合板の断面の仕上がりに留意すると尚良い。


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徳田可奈子
脚端から上部へと太くなる構成に特徴があり,シンプルでおおらかなチェアである。低めの座高に対してテーブルの高さ設定が高く差尺が有り過ぎ,その結果、座と背もたれのバランスが悪くなったのが残念。



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清本友輝
当初描いたイメージに固執しながら、木組みの方向に悩みながらも、工夫を凝らして、バランスの良い椅子にまとめ上げられている。



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樋下田知史
当初、メープル材のスーパー合板でフレーム部の製作を試みたが、プレス型の強度がなくて失敗。シナ合板に切り替え、メープルの突き板を貼ることで、プロポーションの美しい椅子になった。



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高瀬夏来
逆T字脚の優美な曲線で均整の取れた構成は、充分強度もあり上手な構成である。座前の、突き板と木口の処理にひと工夫有ると良かった。

多摩美術大学客員教授  川上元美





今回はケベック州木材輸出振興会/カナダウッドにご協賛いただき、ハードメープルを中心に使用した椅子制作となっています。

展覧会(ギャラリール・ベイン)での展覧会の様子

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課題出題者の川上先生、富樫先生と、ケベック州よりルイさん。
メイプルシロップ賞を獲得した富所君、清本君、井上君。

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課題を選択した学生たち


第四課題
《建築デザインコース》
被災地での「みんなの家」を考える
伊東豊雄客員教授、田淵諭教授

岩手県釜石市視察の様子
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多摩美術大学図書館(伊東豊雄先生 設計)で行われた講評会の様子
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【総評】

今年の課題はかなり特異なテーマでした。ほとんど全員が釜石を訪れて現地の人達から直接話を聞き、その上で課題に取り組んでくれたことは提案からもよく伝わってきました。それぞれの被災地への想いを「みんなの家」として描いてくれたことに感激しています。いろいろな方向からの提案には実現してみたいものもいくつかあり、例年にない気持ちのこもった出来栄えだったように思います。ありがとう!


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井上大志さん
小さな佇まいが可愛らしい。高齢者や女性のためにという発想が良いし、利用者が自由に付け足していくというアイデアも良い。


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井上真さん
自分で建築自体をデザインするというより、住民やサポーターと一緒につくっていくためのシステムを提案している点が特徴的。是非実現してほしい。



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大島頌太郎さん
フレームのみを最初に用意し、人々が共同して集められたものでブリコラージュ的に組み上げていく提案は、コルビュジエのドミノに通じる。コンセプト抜群。



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岡﨑 哲彦さん
バス停をみんなの家にという発想が良い。簡易なフラットルーフの下に小さな小屋が存在するのが素晴らしい。



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寺田健太朗さん
トレーラーで移動するキャラバンというアイデアが新鮮だし、リニア-に開かれたデザインも心地良い。


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柳田里穂子さん
学校の卒業式の場から発想したみんなの家は地域の人々に感激され、愛されるであろう。通常時の使われ方が空間に反映されるとより良くなるに違いない。



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梅原悠二さん
単純なアイデアだが、みんなでつくってみんなで祝うという喜びが伝わってくる。どこかの被災地でやってみたい。


多摩美術大学客員教授 伊東豊雄





《インテリアデザインコース》
—Tama Art University Promotion Pavilionー
担当:藤江和子客員教授、富樫克彦教授


【総評】
今年は受講人数が少なく、3チームとなったが、限られた期間に此の課題を充実して進めるには良かったのかもしれない。
3チームとも、プロセスにおいて 初めての共同作業の進め方に
苦労したようだ。表現者としての個人的な表現と社会性を持った理路整然とし
たコミュニケーションのなかでの表現のギャップに苦心した事は、今後に多い
に役にたつ事だろうと思う。相変わらず、模型製作作業や絵の表現には長けて
いるが、図面表現、コンセプト表現など基本的な能力にもレベルアップを期待
したい。又、A3版作品のまとめの作成の意味が十分に認識されていない事も社
会への関心が薄い証拠であろう。
来年からは、此の課題の主旨をもっと理解した上で、此の課題に望むような進
め方が必要であろう。


【参考作品 Bグループ】 
此の課題の目標とする成果にまずは到達している作品となった事は良かった。プロセスに多くの苦労を経験したようだが、更なる内容の充実やレベルアップを望まれる。

多摩美術大学客員教授 藤江和子


Bグループの作品↓
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(fuku)
by edd-news | 2012-03-31 20:03 | Grade 3
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