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2012年度3年生第4課題建築デザインコース みんなの家
3年生建築デザインコースみんなの家の課題と参考作品と担当の伊東先生のコメントをご紹介いたします。

講評の様子
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担当 奥:伊東豊雄客員教授 手前:田淵諭教授
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1月8日から12日まで図書館にて展示を行いました。

(tani)



《課題文》
被災地では厳しい避難所生活や仮設住宅での暮らしが続けられています。現在避難所や仮設住宅で暮らしておられるのは、津波等で家が失われてしまったり、放射線の影響で自分の家に住むことができなくなってしまった人達です。避難所では多くの場合、簡易なパーティションで区切られた囲いのなかの住まいですし、仮設住宅を与えられたとしても無味乾燥に並列するプレファブ小屋のなかに住まざるを得ません。このような住まいでの暮らしでは、「心の安らぎ」など望むべくもないでしょう。閉ざされた囲いのなかに引きこもってしまいがちな人々も多いと聞きます。ここでは最低限のプライバシーを確保することは出来ても、家族や友人同士、隣近所の人々が集まって過ごす「居場所」はありません。ベッドルームのみがあってリビングルームのない家に住んでいるようなものなのです。
そんな暮らしを強いられている人々に少しだけ「ホッとする」場所を提供したいという提案が「みんなの家」プロジェクトです。
私達はTVや新聞で被災地の人々が避難所や仮設住宅のなかから屋外に出て、空き箱のテーブルを囲んで食事をしたり、小さなコンサートを開いている風景に接しました。そして人々がこのような極限状況におかれても見せている笑顔に感動を覚えました。
私達はこの笑顔の絶えないうちに、この食事やコンサートの場をもう少しだけ居心地の良いものにしたい、そしてそんな場所をつくることなら私達にもできるような気がしているのです。
そしてこの一時的なリビングルームはさらに発展させて、町が復興する折りには、小さなしかし恒久的な「みんなの家」として生まれ変わることができるのではないか、そんな想いを抱きながらこの提案をしたいと思います。これは上から与えられるものではなく、被災地の人々と一緒につくり上げる家なのです。
同じような「みんなの家」は仮設住宅の並ぶ場所でも考えられないでしょうか。空地に木造でつくるのが望ましいのですが、必ずしも新築でなくとも、近くの既存建築物や集会所を使ってつくることも十分可能です。重要なのは心の痛手を負っている人々が、その傷を癒されるような心のこもった暖かいデザインの空間です。ここに居る時間だけは自分の家に「帰ってきた」と思うことができるような精神の安らぎを感じる場所が求められるのだと思います。
本来公共建築とは人々が出会い、語り合い、交流し、そこから何かが生み出される、そんな場所であったはずです。しかし今日の多くの公共施設はそのような本来の精神が忘れ、単なる便利さや機能性のみが求められているように思われます。
今回の震災は、私達に忘れていた公共、即ち人と人が出会う場所という原初の意味を想い起こさせてくれました。
即ち「みんなの家」は以下のような目的を持った小さな家なのです。
① 家を失った人々が集まって語り合い、心の安らぎを得ることのできる共同の小屋です。
② 住む人(利用者)と建てる人(設計者、施工者)が一体となってつくる小屋です。
③利用する人々が復興を語り合う拠点です。
このような主旨に沿ってあなた自身の考える「みんなの家」を提案して下さい。

12月初旬、設定敷地のある宮城県岩沼市に見学に行きました。
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がんばっと玉浦の方々に震災当時のことや現状必要としていることなど、貴重なお話を伺いました。
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仙台宮城野区のみんなの家にもお邪魔しました。
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《参考作品およびコメント》
植野由里雅さんの作品
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コンテナを先に設置してそこから木造のフレームを組み、セルフビルド的に発展させていく方法が素晴しい。ネット販売の仕組みまで言及している点もリアリティがある。

渋谷黎さんの作品
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高いフラットルーフと家型の小さなヴォリュームの対比が美しい。センスもとても良いが都会的すぎる。もっと逞しくなって欲しい。

鈴木理子さんの作品
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プランニングが緻密。畑飯をつくるというコンセプトも面白いが、都市住宅のようで、もっと農家の素朴さが欲しい。

高橋由衣香さんの作品
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紙筒と膜でつくる発想がユニーク。生活感のリアリティを感じさせるが、デザインにもう少し繊細さが欲しい。

庭野菜津美さんの作品
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ボランティアの協力に始まってこのエリアを農業別荘地にするための基地として「みんなの家」を考えたプログラムの立て方がとても良い。デザインはもう一歩。

Noh Kyeong Jinさんの作品
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シンボル性の強い構造システムの提案がユニークで力強い。放送局を置く提案も良いが図面の描き方をもっと繊細に。

和田恵里佳さんの作品
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屋根空間と屋根だけの半屋外空間を並列させた構想が良い。平面も緻密に考えられているが、もっとダイナミックさが欲しい。

宮内富久子さんの作品
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単純なY字型の架構システムを連続させてファクトリーのような空間を提案した点が素晴しい。半透明の素材で屋根と壁のすべてを覆ったアイデアも「みんなの家」に新鮮なイメージを描き出して十分実現の可能性がある。
by edd-news | 2013-01-28 12:32 | Grade 3
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