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- ART Seminar House -
担当教員:平山達 教授、森下清子 教授 Toni Kauppila 教授 参考作品と課題の総評です。 「シモキタ」の呼称で呼ばれている下北沢界隈は1927年鉄道の開通によって、農村の地割りそのままの形で住宅地が形成されてしまいました。駅前広場があるわけでは無く、車でのアプローチもままならず、近年小商店が住宅地をむしばむかのようにスプロールを続けています。路地の奥に何が現れるか・・・と言う期待感からでしょうか、今日では若者に人気のスポットとなっています。そこでこの課題は「地元住民・ここにアートを学びにくる人々・そして下北をうろうろと歩き回る若者たちにとってどのような場を提供できるか」がテーマとして問いかけられたのです。建築の設計課題では1年次の最後に小さなセカンドハウス、2年次の最初にギャラリーカフェをやっただけの学生にとっては一寸難しい課題だったにもかかわらず、アアルト大学(旧ヘルシンキ芸術大学)、から参加された Toni Kauppila 先生の適切な指導もあって、数々の素晴らしい作品が生まれました。 平山達 教授 ここから参考作品の紹介とコメントです。 (コメント:平山教授) 大島 頌太朗 日本の伝統芸術を広めるための施設として計画されたこの施設は、ほとんど全ての機能が半地下から地下2階にわたって巧みに計画されており、スカイライトから降り注ぐ自然光が隅々にまで行き渡るよう配慮されています。特筆すべきは、緩やかな起伏を持ち芝生に覆われた地上レベルの屋上ガーデンが、路地空間しか存在しない下北沢に人々の憩いや集いの空間を与えた点にあるといえます。 岡崎 哲彦 ピロティーによって持ち上げられた開放的な地上の空間が、下北沢の地に広場を与えることになりました。二階の屋外空間の周囲は高さ5m 程の半透明なガラス壁面によって町の景色が完全に遮断され、青空だけが視界に飛び込む都会の中での異空間を出現させています。日常目にする「空」という自然を改めて認識させると言うカラクリが実におもしろい発想だと思います。 岡村 優里 オタマジャクシの卵の様な配置計画により、裏の路地から井の頭線の駅までの散策の流れが形成され、施設の利用者以外の人々にとっても魅力的な空間が実現されています。円形で構成された卵の部分は、独自の形態をした空間の中にそれぞれの機能が収まっています。ガラスの皮膜を通した内外の視線の交わりは、人々を内から外へ、また外から内へと誘うに違いありません。 加藤 亜矢 井の頭線の駅から裏の路地まで、施設利用者以外の町ゆく人々の散策路として明るく魅力的な内部空間が計画されています。所要施設がその流れの空間にクラスター状に配置され、独立性をキープしています。所要施設の形状に今一つ工夫が見られたら、より素晴らしい内外の空間が出現したに違いありません。 小菅 良平 まさに「森」を意識したこの計画は、木陰でアートを楽しむ空間のデザインと言って良いでしょう。敷地一杯にちりばめられた木々を模した架構からの木漏れ日が、絵画や彫刻などの制作に相応しいか否か多少の疑問はあるものの、 住宅地と密集した商業施設の混在する地域にとって、オアシスのような場を与えるに違いありません。 高瀬 夏来 lagoon と名付けられた計画のごとく環礁に囲まれた海面を思わせます。 中心にスカイライトを設えた珊瑚礁の下にはそれぞれの施設が配置され、打ち寄せる波を思わせる屋根の文様が内部空間にまで及び、たゆたう穏やかな空間が下北沢の地にもたらされました。随所に見られるスケール感の良さに加え、建物と敷地境界の間の空間に細やかな配慮が見て取れます。 富所 駿 不思議なことに地階にある井の頭線の改札からダイレクトに地下で敷地にアプローチする唯一の案でした。地階のレベルに設けられたほどよい広がりを持ったサンクガーデンに導かれることによって、人々はいつの間にか地上にいる気分にさせられる様な巧みな空間構成が見られます。ちょっと単調で重たげな屋根の構成が気になりますが、地階の空間を地上の空間ときわめて意識的に関係づけようとした作品といえるでしょう。 (to)
by edd-news
| 2010-09-15 10:46
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