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2012年度3年生第3課題インテリアデザインコース 大規模商業施設・モール内の物販店舗の設計
3年生インテリアデザインコース 大規模商業施設・モール内の物販店舗の設計の課題と参考作品をご紹介いたします。

講評の様子
2012年度3年生第3課題インテリアデザインコース 大規模商業施設・モール内の物販店舗の設計_b0049355_16423678.jpg

担当:(左)高取邦和非常勤講師(右)大嶋敏裕非常勤講師
(tani)



《課題文》

■はじめに
今年で3回目を迎えた大規模商業施設・モール内の物販店舗の設計という課題だが、大きな意味で商品を作りそして買い手に届けるという事を考える所からこの課題に取り組んで欲しい。ここ日本では、久しく物が売れない時代、高級品の動きが悪い、クオリティを求める顧客が減ったという声を巷で聞くが、それでは人はよりいいものを求める気持ちが失せてしまったのかと言えば明らかにNOと言える。
昨年経済成長著しい中国の都市(上海、広州、深セン、成都など)の人、物、商業施設を見る機会を得たが、まさに80年代の日本のように海外の文化、風俗、生活スタイル、商品を貪欲に、そしてよりスマートに取り入れている姿を見て、日本の経済を立て直し世界のトップランナーに、返り咲かなくてはいけないと一個人ながら考えた。日本の商業施設の4~5倍は予算をかけているのではないかというクオリティの高い施設を見て、刺激を受けた訳です。
もちろんここ日本でも商業施設の競争は激しく、立地のいい開発エリアは、企画や予算のコンペを含め複数の事業会社が競い合い、用地取得後は、基本計画に沿って法規、建築、ランドスケープ、インテリア、グラフィックなど様々な分野のプロが、事業の成功を目指し施設を作っています。競争して勝った者だけが形を作っているのです。
 東京の中心部、丸の内、大手町、日本橋、汐留、品川、六本木、新宿などに次々と作られる高層ビル群は、オフィスワーカーや訪問客の為に飲食、物販、サービスなどの機能を備えていますし、郊外や比較的駅に近い広大な敷地には、いわゆるショッピングモールと呼ばれる典型的な大型商業施設が造られています。又、観光地や避暑地には立地に即した自然を生かした低層のモールなどの開発も行われています。様々なモールのあり方が試行されるなか、これからどんなモールがあれば、人が集まり活気ある施設が作れるのでしょうか。そういった側面も一つの要素として、課題コンセプトを考えて欲しい。
最近では、PCや携帯機器をネットに繋ぎ、ワンクリックするとその場で楽曲や映画など鑑賞できるし、書籍や電化製品なども翌日には届いてしまう便利な世の中になった。躍進している代表はアマゾンや楽天、アップルストア(app store)などだろうか。業種、業態によっては実店舗を持つ企業の売り上げを圧迫するなど大きな変化が表れている。
でも人は実店舗に行かないと得られない情報やサービス、商品・ブランドの魅力を体験し、品質やサイズを確かめ、購入する事に大きな快感と安心感を得ているのも事実である。画面から得られる情報だけで購入する事と、実際の商品を見て手にする事との違いなどにも思いを巡らせデザインを進めて欲しい。
最初は小さな気づき思い付きから始まるが、周辺を取り巻く社会や環境を考え、自分なりの提案を加味していくと、素晴らしいデザインになる可能性が生まれる。商品を取り巻く魅力的な空気感・雰囲気をイメージして、オリジナルで魅力的な環境を作って欲しい。

■ 課題
 立地設定は、海外、国内を問わず自由とします。店舗が複数集積した商業施設をイメージしていただければモールの規模の設定も自由とします。自分で設定した業種、業態、商品、ブランドの魅力を伝える店舗をコンセプトメーク・デザイン・設計をして下さい。設計の最低面積は25坪程度、最大は特に定めませんが、150坪~300坪程度が期間を考えますと適正かと思います。モール自体の設定のコンセプトワークにショップデザイン個体の魅力にフォーカスして、設計深度を求めたいと考えています。別紙に設定した通り芯や柱の設定は、あくまで基準ですので各自のコンセプトに合わせてアレンジしてください。

《総評》
今年は『商品を作り、買い手に届ける』というショップが持つ根源的な事から考え、提案してもらう事とした。近年売上を伸ばしているネットに代表される仮想店舗とは違った、実店舗にどのような魅力をプラスできるかといった視点が必要だと考えた。
参作には届かなかったが、大坪君の物販から飲食エリアへの繋ぎに設定した、思わず寄りたくなる街並みのような店舗や、庭野さんの電子デバイスを使用した試着ルームから、アパレル店舗へ水平・垂直移動するホール空間、高井さんの一軒家のガーデニングハウス、渋谷君の空港のタオルショップなど、デザインとプレゼンの精度をもう少し上げれば、届く作品も多くあった。引き続き頑張って欲しい。今後も実店舗に行って体験し、人に話したくなるようなショップ提案が、益々必要な時代になっていくので、そういった視点を大切にして欲しい。

《参考作品および大嶋先生のコメント》
水野香奈さんの作品
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『自分にピッタリの靴を探す店・ORiental TRaffic』
・モールの通路側を室内、店舗部分を外部と設定し小川が流れる公園のような環境に、シューフィット機能を充実させた靴店を提案した。ピッタリという言葉には、サイズや履き心地の他に、デザインやショップの雰囲気など全て含まれていると思うので、20代の女性が買い物する環境として、素直にいいなと思える作品になった。

落合由佳さんの作品
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『コスメショップ・Skin Food』
・おいしい食品から作るコスメショップという韓国発のブランドをより魅力的に展開するというコンセプトで、市場的な販売スペースと、購入したコスメをすぐに試せるスペースを有したカフェスペースの複合的な提案となった。最近のアパレルブランドのカフェやスイーツ業態への進出、複合化は、ブランドの世界観をより多面的に伝える事で、ファンを増やしたいという事だと思うが、コスメなど購入してすぐに試したいという女性のニーズに対応したお店になったと思う。

高橋篤樹さんの作品
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『Moving New Container Shop』動く新しいコンテナショップ
・コンテナを利用した移動する美術館や、デザイナーズウイークでのブースなど、コンテナを利用した空間は多々あるが、本来荷物を守る為に作られたもので、ごつい、重い、窓がないなどネガティブな要素を持っている。この作品は、コンテナの移動性や可変性は残しながら、シンプルな家の形に置き換え、薄く、軽く、変化に富んだ開口を与えて新しい環境を創出した。単純なアイコンから様々な業態、使われ方に合わせて、展開方法や仕上げなどバリエーション豊かな提案。モールの吹抜け・中庭空間から、自然のなかに置かれた状況まで検討し、CGパースに落し込んで説得力ある作品となった。貨物車やトラックが、この家型アイコンを運ぶ姿を見たら、思わずついていきたくなるようなわくわく感があった。このニューコンテナショップが到着し、設営準備をしている時から、周辺の人が集まって開業するのを楽しみに待つ姿が浮かんだ。
by edd-news | 2012-12-14 16:54 | Grade 3
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