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2014年度 3年生 第4課題 建築 ライフスタイルショップ
2014年度 3年生 第4課題
建築デザインコース

ライフスタイルショップ

担当:古暮 和歌子先生、岸本 章先生


課題および、参考作品、メイン担当の古暮先生からのコメントをご紹介します。


講評風景(2014.10.21.tue)
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【 課 題 】
物を売るだけでなく、生活のスタイルを提案するための商業建築を考える。ライフスタイルの提案としては家具、照明などから食器、ステーショナリーなどのプロダクト、衣類、食品、本、さらに趣味、スポーツ、旅行などの活動まで、暮らしの提案を超えて生き方に関わる提案も考えられる。
この課題では、既存にはない発想でこれからの商業環境を提案してほしい。
課題では夏休みの間にどのような人々を対象に何を提案するのか、何を扱うのか、はっきりとしたコンセプトを組立てる。そして新学期の冒頭ではそれに必要な活動内容をプログラムすることで、自分はどんな空間が欲しいかを探っていく。
そして、その意図した商業活動が生き生きと発展し続けるような架構空間は何かを考えデザインし、それぞれの場所をていねいに作り込んでいく。家具が人間の体を直接に支えるobjectであるならば、建築は人間の体と活動を支えるobjectである。家具が体を受け入れるために引っ込んだり出っ張ったりするように、建築も本来はその活動を反映させて空に穴がうがたれたり、皮膜が薄くなったり厚くなったり固くなったり尖ったりしている。本来建築は自由で、多彩なライフスタイルにもとづき多様な形態・架構が許されているはずである。ひるがえってこの10年に日本でポピュラリティーを獲得して流通しているライフスタイルは、ともすると既存のマンションや住宅に行儀よくおさまるものばかりになっていないだろうか。そしてそれらを流通させるライフスタイルショップもまた画一的な空間になっていないだろうか。今回は、現状に甘んじることなく新たなライフスタイルを提案すること、そしてその流通活動を支えるobjectの提案に挑戦してほしい。
最後に、その考えに共感してもらうため、まるでそこを体験したかのような生き生きとしたプレゼを期待する。


【 総 評 】
建築はいろんな意味で、生活時間(いえ)を成り立たせる道具であり、つまり都市の家・具ともいえます。今回は横浜の未来にむけて、あるべきライフスタイルを発信する拠点づくりが課題でした。それぞれが現代における社会的な問題意識を持ち、横浜という都市における赤煉瓦パークに新しい意味を見つけ出し、そこではどんな商業活動がおこなわれるか想像してプログラムし、それらにもっとも適した空間を考えだすという課題です。
 今回は特に後半の空間づくりにおいて「架構」に重点を置きましたが、うまく消化できた人も停滞してしまった人もいました。是非、身構えずに空間を形作るそのものの面白さを再発見してもらえたらと思います。
 とはいえ、結果としてはどんな形態、空間であるべきがに出会うまで何度も思考・そして試行が繰り返された力強い作品が多く、面白い課題となりました。


【 参考作品紹介 】

◎小山 杏夏
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門型架構を扇状に展開したおおらかな店舗空間を細かな機能空間が補完して、公園に対しての広がりが気持ちの良い作品です。この先、店舗空間をもっと具体的に掘り進めると、中古家具のDIYというプログラムにみあった半屋外空間の使いこなしや、什器と架構の絶妙な関係が生まれてくるなど、密度ある作品になると思いますので、手を止めずにやってみてください。



◎小暮 恭大
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一見簡単そうな膜構造ですが、平面や機能的要求との整合性をとるのは実は大変です。この作品では自転車のスポークが森のように立ち上がり、潮風を感じながらも通年で気持ちよく使えるサイクリストの基地が提案されました。今後の横浜の交通問題に一石も投じています。外部ランドスケープをもっと積極的にデザインすると内外の活動の流れが良くなり、また什器デザインに至るまで統一されたインテリアのアイディアも出てきて、プログラムの説得力も強くなります。



◎田浦 奈恵
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生の火を生活に取り入れることを提案し、またこのエリアに温かな光の溜まり場を創出して夜の横浜の魅力を付加するプロジェクトです。シェル構造の一枚の膜が火山のようにところどころ盛り上がり、内部での商業活動を反映させ、単調だった公園に魅力的なスカイラインを作り出しています。内部空間も大きな溜まりやエクステリア部門の散策路を思わせる商空間の演出など一つ一つの居場所が、丁寧にワンルームの中に展開していきます。内外部の接するところでのジグザグ導線のショーケースから外部空間のシンプルだけれど行き届いた配置まで、完成度の高い作品です。



◎武松 志保
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あえて赤煉瓦のボリュームと対抗させるような大架構をつくらず、ユニットを作り込むこことでこの公園になかった「ヒューマンスケールの繊細さ」をとりいれ、エリア全体に一体感を生み出す事に成功しています。林立する柱やユニット同士の隙間から届くコントロールされた光が、リズム感ある木陰のような場を演出しています。機能的にはもう少し隠れた場所や、逆に開けているけれど溜まりになる空間などが作り込まれ、またユニットにサブシステムが付加されて融通がきいてくると、密度ある作品に仕上がってくると思います。



◎前野 慧
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現代の生活では画一化されてしまっているように見えるテーブルとそれをめぐる生活の数々の場面が、実は多様であることに気づいてほしく、細長い空間を展開していく事に臨みました。床をゆるやかにうねらせ、リズム感ある彫刻のような形態を海へのゲートとすることで、大桟橋にぼうっと面していたこの公園自体に重心ができ、またオリジナリティーのある海との関係を結ばせました。内部は接客スペースや事務などが、さらっと枝分かれの手法でデザインされていて秀逸です。



◎山口 雅子
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テンションをかけることで薄くできた大屋根と、そのテンションの重りとしての両端の機能的空間が、象のはな地区とレンガエリアを繋ぎながら賑わいをつくる事に成功しています。大胆な架構で、現状では消化不良になっている土地に解決を与えました。重厚感ある二つの建物の断面も天井高を違えた構成で引き締まり、静かだけれど家具つくりの活気に満ちあふれた時間を想像でき、完成度の高い作品になっています。







(kta)
by edd-news | 2014-11-29 19:54 | Grade 3
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